Asana が StackAI を買収 — すべてのヒューマンエージェントのワークフローを 1 か所で実行できるようになりました。詳しく見る
「It takes a village (子供を育てるのは村中みんなで)」というアフリカのことわざがありますが、これは「成功はコラボレーションから生まれる」という考え方です。企業経営者やプロジェクトマネージャーなら、このことを身をもって体験しているのではないでしょうか。
プロジェクトを完了させるためには、自分の村、つまりチームが必要です。会社の目標を達成するためにも全体の力が必要です。では、チームメンバーが他の人の目標に向かってモチベーションを維持しながら取り組めるようにするには、何が必要なのでしょうか。
そこで登場するのが、経営目標とグループもしくは個人の目標をつなげることで業績向上を図る MBO (目標管理制度) です。この記事では、MBO とは何か、その仕組みとメリット、デメリットをまとめます。
MBO とは、チームや個人の目標と会社の目標をつなげることで、一人ひとりのモチベーションを高め、仕事に参加していると感じさせるマネジメント手法です。
マネジメントの父として知られるピーター・ドラッカーが 1954年に出版した著書「The Practice of Management (現代の経営)」で初めて紹介したもので、チームや個人が設定した目標を組織全体の目標と関連付けながら、その達成を目指す手法です。マネージャーや上司は、レポートツールやパフォーマンス評価を用いてチームメンバーのパフォーマンスをモニタリングしサポートします。
MBO では、チームメンバーや会社の業績を測るために、客観的な基準を用います。ここで言う客観的な基準とは、合意に基づいて、何が公正で、合理的で、そして受け入れられるかを示すものです。
この基準を用いて、チームメンバーの生産性を評価し、チーム内でチャンスのある領域を特定することができます。この手法が機能するのは、MBO プロセスの一部として、経営陣とチームメンバーがこうした「客観的基準」に沿ってつながり、合意しているからです。
Asana で目標を設定し、達成するAsana については『1 分でわかる Asana』動画をご覧ください。
ドラッカーが自身の著書で提唱してからすぐに、MBO は海外では一般的な経営戦略として用いられました。しかし日本でこの MBO が注目されはじめたのはバブル崩壊後の 90 年代後半です。
経済低迷によりコストダウンが余儀なくされる中、勤続年数ではなく能力や成果で社員を評価しようとする企業が増えたことがその理由でした。年功序列や終身雇用が当然だった当時、組織は人件費を削るために、本当に優秀な人材を見極めるための客観的評価基準を必要としていたのです。
MBO と似た目標管理の手法として、OKR や KPI が挙げられます。それぞれの特徴を理解し、自社に合った手法を選びましょう。
OKR (Objectives and Key Results) は、達成率 60〜70% を目安とする挑戦的な目標を設定し、四半期などの短いサイクルで運用するフレームワークです。人事評価とは切り離して運用するのが一般的で、組織全体の方向性を揃えることを重視します。
一方、MBO は達成率 100% を基準とし、人事評価に直結するのが特徴です。個人の成果を明確に測定し、報酬や昇進に反映する仕組みとして設計されています。
KPI (Key Performance Indicator) は、目標の進捗を測定するための定量的な指標です。「売上高」「顧客獲得数」など具体的な数値で成果を可視化します。
MBO は目標の設定から評価、フィードバックまでを含む包括的なマネジメント手法であり、KPI はその中で活用できる測定ツールのひとつです。両者は対立するものではなく、MBO の目標に KPI を組み込むことで、より客観的な評価が可能になります。
MBO | OKR | KPI | |
目的 | 個人目標と組織目標の連動、人事評価 | 組織の方向性を揃え、挑戦的な目標を推進 | 業績や進捗の定量的な測定 |
評価サイクル | 半期〜年次 | 四半期 (短期サイクル) | リアルタイム〜月次 |
目標達成率の基準 | 100% 達成が基本 | 60〜70% で成功とみなす | 設定した数値目標に対する達成度 |
人事評価との連動 | 直結する | 切り離すのが一般的 | 参考指標として活用 |
ドラッカーが 1950年代に MBO を提唱してからというもの、この手法は一般的な経営戦略として多くの組織が採用しました。しかしその後、新しいマネジメントスタイルが登場する中で、このモデルの普及が減少していったのも事実です。
もちろん現在でも MBO を採用している企業はありますが、賛否両論あります。
MBO のメリットとデメリットを知って、自分の組織に合っているかどうかを見極めましょう。
大規模なシステムの中で使用することで、管理構造をシンプルにすることができる MBO。人事考課や個人の能力開発、人材育成にも効果がありますが、その他にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
モチベーションと生産性が向上する: チームメンバーが個人的な目標を持つことで、自分の仕事がなぜ重要なのかがより明確になります。その結果、メンバーのモチベーションと生産性が向上します。
コミュニケーションが向上する: MBO により組織とチームもしくは個人の目標が結びつくことで、コミュニケーションが図りやすい体制が整います。コミュニケーションが改善されれば、よりオープンな職場環境を作ることができるでしょう。
個人の目標をパーソナライズできる: MBO システムでは、個々の目標がパーソナライズされ、チームメンバーが最大限に力を発揮することが優先されます。社員全員が自分の仕事がどのような影響を与えるかを理解することができます。
MBO は個人の目標を重視するモデルであるため、企業の倫理や価値観を軽視することになる危険性があるとの考え方も存在します。MBO を効果的に実施するためにはデメリットを知ることも重要です。運用時には次の注意点やリスクを考慮しましょう。
戦略計画よりも目標設定が優先される: 個人的な目標を優先するあまり、長期的な戦略計画が犠牲になることがあります。目標設定に多くの時間を費やす企業は、企業文化や業務上の問題、その他の分野に注力する時間が少なくなる可能性があります。
目標達成のためにチームメンバーの負担が増える: MBO は個人に焦点を当てるため、チームメンバーが目標達成のために過剰なプレッシャーを感じる可能性があります。このような職場環境では、チームメンバーが働きすぎ、定着率や士気の低下を招く可能性も否めません。
チームメンバー間で競争が発生する: MBO で採用されている外発的な報酬システムは、チームメンバー間の競争を促進し、健全な職場環境の構築を妨げる可能性があります。健全な職場でのチームダイナミクスには、チームワークと、個人や会社の目標を達成するためにお互いをサポートすることが含まれます。
MBO 手法には 5 つのステップがあります。それぞれのポイントをひとつひとつ押さえて、効果的な MBO を実施しましょう。
まず組織の目標を明確にします。この段階でプロジェクトマネージャーは会社の目標を共同で作成し、チームにわかりやすく変換して伝えなければなりません。目標を定めるときは、マインドマップを作成すると効果的です。
記事: 成功を評価するために使用できる 22 種類のビジネス目標無料の企業目標テンプレート会社の目標を定義したら、トップダウン型アプローチでその目標を各チームメンバーの個人目標に変換します。SMART ゴールのフレームワークを使って、チームメンバーの目標が測定可能で達成可能なものであることを確認しましょう。
チームメンバーが個人的な目標を持ち、それが会社の大きな目標につながっていれば、自分が全体像の中でどのような役割を果たしているかを理解することができます。
Asana の「仕事の解剖学」調査によると、個人の仕事が会社の目標とどのように関連しているかを明確に理解していると回答した従業員は 26% にとどまり、会社が目標の設定や伝達を効果的に行っていると答えたのはわずか 16% でした。
それぞれの目標に向かって仕事を進めているチームメンバーたちのパフォーマンスをモニタリングします。効率的にモニタリングするには、プロジェクト管理ツールから成功指標を収集し、目標や主要な結果 (OKR) が達成されているかどうかを確認しましょう。
パフォーマンスをモニタリングすることで、チームメンバーの生産性を評価することにもつながります。
モニタリングしたパフォーマンスは定期的に評価し、時には見直しを行うことも必要です。こうした評価を行うことで、チームメンバーの進捗や目標の達成度を評価できます。
パフォーマンス評価では、各チームメンバーがうまくやっていることや、個人の目標に対してどこを改善すればいいのかを個人的にフィードバックすることで、メンバーの会社全体への貢献度を高めることができます。業績管理におけるこのステップは、経営オーナー陣とチームの効果的なコミュニケーションの場としても非常に重要です。
フィードバックによってチームの生産性が向上するため、チームメンバーの中にはパフォーマンス評価を楽しみにしている人もいるでしょう。
MBO システムの最後のステップは、チームの成果を称えることです。評価を行ったその後は、必ずこのステップを設けてチームの士気を高め、次の MBO プロセスでもチームメイトのモチベーションを維持できるようにします。
チームの成果を称えることは、内発的と外発的な方法の両方で行うことができます。内発的動機づけを促すには、チームメンバーに挑戦すべき目標を与え、その努力を認め、帰属意識を持たせ、チームビルディングのアクティビティを行うことです。
外的報酬には、称賛、ボーナス、昇給、昇進、現在の職務における責任の追加、または有給休暇などがあります。これらの報酬は有形無形を問いませんが、チームメンバーが個人の目標や会社の目標に向かって努力し続けるための動機付けとなるでしょう。
MBO は導入するだけでは効果を発揮しません。形骸化を防ぎ、継続的に成果を出すための運用のポイントを押さえましょう。
MBO が形骸化する最大の原因は、期初に目標を設定した後、期末まで振り返りが行われないことです。月次や四半期ごとに定期的なチェックインを実施し、目標の進捗を確認する仕組みを整えましょう。
また、環境の変化に応じて目標を柔軟に修正できるルールを設けることも重要です。「設定したら終わり」ではなく、目標を生きたツールとして運用する意識が求められます。
目標設定では SMART の原則に加え、定量的な目標と定性的な目標のバランスを取ることが重要です。数値だけでは測れない行動面やプロセスの改善も評価対象に含めましょう。
さらに、個人目標が組織全体の戦略と明確にリンクしていることを確認します。上位目標とのつながりが見えることで、チームメンバーのモチベーションと納得感が向上します。
MBO の効果を高めるには、年次評価だけでなく、定期的なフィードバックの機会を設けることが不可欠です。週次や隔週の 1on1 ミーティングを通じて、進捗の確認と課題の早期発見を行いましょう。
1on1 では、一方的な指示ではなく対話を重視します。チームメンバーが自分の成長を実感でき、安心して課題を相談できる関係性を築くことが、MBO の成功につながります。
MBO の例として、とある会社のケースを挙げてみましょう。たとえば、ある会社では四半期ごとの目標として、マーケティング活動から全体の収益の 30% を獲得することを掲げています。この目標を達成するために、チームメンバーそれぞれの個人目標に分けます。
デジタルマーケティング担当者の個人的な目標は、今四半期に 3 社の新規マーケティング顧客を確保することです。
マネージャーは、各チームメンバーがどのように個人の目標を達成しようとしているのか、また、目標に向かって進んでいるのかを確認するために、四半期ごとにチームメンバーのパフォーマンスをモニタリングします。
四半期末に目標を達成したチームメンバーには、ボーナスが支給されます。
MBO (目標管理制度) について、その意味と仕組み、メリットとデメリットをまとめました。紹介した 5 つのステップに沿って MBO を行い、業績アップを目指しましょう。
MBO は、包括的な管理計画の一部として使用すると最も効果があります。チームメンバーが会社のミッションにつながる目標を持てば、意欲的に協力することができます。そこでおすすめなのが、目標管理ソフトウェアの使用です。
MBO の目標設定やその追跡サービスがあるソフトウェアなら、チームメンバーは目標に向かって円滑に仕事を進め、プロジェクトマネージャーは目標達成をリアルタイムでサポートできるようになります。リモートワークが増えチームメンバーと直に顔を合わすことが減っている状況にも対応できるよう、オンラインでチームを効率的に管理できる Asana のようなツールの導入を検討してみましょう。
ビジネス戦略に関連して、昨今ますます注目が集まる DX や CSR などの活動に関する記事も Asana でご覧ください。
Asana を無料で試す